映画『猿の惑星:新世紀(ライジング)』
あらすじ・ネタバレ・感想

映画『インクレディブル・ハルク』のポスター1

画像引用元: IMDb

「エイプは、エイプを殺さない」 その誓いは、守られるのか。

前作『創世記(ジェネシス)』から10年。 人間が生み出したウイルスによって人類は滅亡の危機に瀕し、一方で進化した猿たちは独自のコミュニティを築き上げていた。

2014年に公開された『猿の惑星:新世紀(ライジング)』は、共存を望む者たちと、憎しみに囚われた者たちの間で揺れ動く、壮絶な戦争前夜を描いた物語である。

平和を望む猿のリーダー・シーザーと、生き残りをかける人類。 交錯する信頼と裏切りが、世界を炎に包んでいく。

本記事では、あらすじからキャスト紹介、そして物語の核心に迫る完全ネタバレ解説まで、掘り下げていく。

1.映画『猿の惑星:新世紀(ライジング)』の作品情報


映画『アイアンマン』のポスター2

画像引用元: IMDb

タイトル 猿の惑星:新世紀(ライジング)
(Dawn of the Planet of the Apes)
監督 マット・リーヴス
公開年 2014年
キャスト アンディ・サーキス, ジェイソン・クラーク, ゲイリー・オールドマン, ケリー・ラッセル, トビー・ケベル 他
ジャンル SF, アクション, ドラマ

2.映画『猿の惑星:新世紀(ライジング)』のあらすじ


猿インフルエンザのパンデミックから10年。 人類の大半は死滅し、文明は崩壊した。

一方、シーザー率いる猿たちはサンフランシスコ近郊の森奥深くで独自のコミュニティを築き、手話や言葉を使い、平和に暮らしていた。

ある日、森に人間の一団が迷い込み、猿の一匹を撃ってしまう。 彼らはサンフランシスコの生存者グループで、電力不足を解消するために森にあるダムの再稼働を目指していた。

シーザーは人間に対し「二度と戻ってくるな」と警告し帰すが、電力が必要な人間たちは諦めきれない。

穏健派のマルコムはシーザーとの対話を試み、ダムの修理許可を得ることに成功する。

しかし、かつて人間に虐待された記憶を持つコバは、シーザーの人間に対する融和的な態度に不満を募らせ、密かに反乱の機会を伺っていた。

3.主要な登場人物とキャスト


  • シーザー(演:アンディ・サーキス)

    映画『アイアンマン』のポスター1

    画像引用元: IMDb

    猿たちのリーダー。高い知能と慈悲深い心を持つ。かつて人間に愛された記憶があるため、戦争を避け、平和的共存を模索する。

  • マルコム(演:ジェイソン・クラーク)

    映画『アイアンマン』のポスター1

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    人間側の主人公。猿を知性ある存在として認め、シーザーと信頼関係を築こうと奔走する。

  • コバ(演:トビー・ケベル)

    映画『アイアンマン』のポスター1

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    シーザーの腹心だが、かつて実験動物として人間に虐待された深い恨みを持つ。人間を信用せず、シーザーの方針に強く反発する。

  • ドレイファス(演:ゲイリー・オールドマン)

    映画『アイアンマン』のポスター1

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    サンフランシスコの生存者コロニーのリーダー。人類の復興を第一に考え、猿を脅威とみなし、武力行使も辞さない構えを見せる。

  • ブルーアイズ(演:ニック・サーストン)

    映画『アイアンマン』のポスター1

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    シーザーの息子。父への尊敬と、過激なコバへの共感の間で揺れ動く若き猿。

4.映画『猿の惑星:新世紀(ライジング)』のネタバレ

※ここからは映画の核心に触れるネタバレを含みます。

・コバの裏切りと開戦

コバは人間の武器庫から銃を奪い、密かにシーザーを狙撃する。

そして「人間がシーザーを殺した!」と嘘を広め、怒り狂う猿たちを扇動し、人間のコロニーへの総攻撃を開始する。

圧倒的な身体能力と武器を手にした猿軍団により、サンフランシスコは火の海となる。

・シーザーの帰還

重傷を負ったシーザーはマルコムたちに救われ、かつて育ったウィルの家へと運ばれる。

そこで治療を受け、息子ブルーアイズと再会したシーザーは、コバの暴走を止めるべく立ち上がる。

「コバはエイプのためではなく、自分のために戦っている」と。

・タワーでの決闘

シーザーは、独裁者として君臨しつつあったコバと、建設中のタワーの頂上で対峙する。

激しい肉弾戦の末、追い詰められたコバは「エイプはエイプを殺さない」という掟を盾に命乞いをする。

しかしシーザーは、コバの手を放し、こう告げる。

「お前は、エイプではない(You are not ape)」

コバは落下し、シーザーは再びリーダーの座を取り戻す。

・戦争の始まり

マルコムは、軍隊が接近していることをシーザーに伝え、身を隠すよう勧める。

しかしシーザーは、「猿が戦争を始めた。人間は許さないだろう」と語り、自らの種族を守るために戦う覚悟を決める。

二人は互いに敬意を表し、友として、そしてこれから始まる戦争の敵同士として別れを告げる。

シーザーが群れの前に立ち、来るべき戦いに備える瞳のアップで物語は幕を閉じる。

5.映画『猿の惑星:新世紀(ライジング)』の補足情報

モーションキャプチャーの進化

前作以上に進化した技術により、本作では初めて屋外での大規模なモーションキャプチャー撮影が可能になった。

湿度の高い森や雨の中での演技がそのままCGキャラクターに反映され、猿たちの実在感が圧倒的に向上している。

監督マット・リーヴスの起用

『クローバーフィールド/HAKAISHA』のマット・リーヴスが監督に抜擢された。

彼はこの物語を「猿視点の『ゴッドファーザー』」のような悲劇的なドラマとして描くことを目指し、エンターテインメント性と重厚なテーマの両立に成功した。

コバの背景

悪役となるコバだが、彼の残虐性は、かつて実験室で人間に切り刻まれたトラウマに起因している。

彼がふざけた真似をして人間に近づき、次の瞬間に銃を奪って射殺するシーンは、彼の狡猾さと狂気を象徴する名シーンとして語り継がれている。

6.映画『猿の惑星:新世紀(ライジング)』の感想

これは単なるアクション映画ではなく、悲劇だ。

シーザーとコバ。

二人の猿はどちらも群れを守りたいと思っていたが、その手段が決定的に異なっていた。

シーザーは「信頼」を、コバは「恐怖」を選んだ。

特にコバのキャラクター造形が素晴らしい。

彼はただの悪党ではなく、人間の残酷さによって生み出された怪物だ。

彼の行動原理には悲しい説得力があり、だからこそ彼が引き起こす戦争は止めようがない悲劇として胸に迫る。

ラストシーンのシーザーとマルコムの別れは切ない。

個人レベルでは分かり合えても、種族間の争いはもう止められない。

その無常観が、この映画を傑作たらしめている。

まとめ

本記事では、映画『猿の惑星:新世紀(ライジング)』を、あらすじからネタバレ、トリビアに至るまで徹底的に解説してきた。

この映画は、信頼と裏切り、そして避けられない戦争への道程を描いた、極めて完成度の高い作品である。

猿と人、二つの種族の運命は、ここから決定的な破滅へと向かっていく。