映画『メイズ・ランナー』
あらすじ・ネタバレ・感想
巨大な壁に囲まれた謎のエリア「グレード」。
記憶を失った少年たちは、毎朝形を変える巨大迷路(メイズ)の謎を解き、脱出することを目指していた。
2014年(日本では2015年)に公開された『メイズ・ランナー』は、ジェイムズ・ダシュナーのベストセラー小説を原作とした、サバイバル・アクション超大作である。
なぜ彼らはここに送られたのか? 壁の向こうには何があるのか?
選ばれし「ランナー」たちが命がけで迷路を駆ける、緊迫の脱出劇。
本記事では、あらすじからキャスト紹介、そして物語の核心に迫る完全ネタバレ解説まで、掘り下げていく。
1.映画『メイズ・ランナー』の作品情報
| タイトル | メイズ・ランナー (The Maze Runner) |
|---|---|
| 監督 | ウェス・ボール |
| 公開年 | 2014年 |
| キャスト | ディラン・オブライエン, カヤ・スコデラリオ, トーマス・ブローディ=サングスター, キー・ホン・リー, ウィル・ポールター 他 |
| ジャンル | SF, アクション, サスペンス |
2.映画『メイズ・ランナー』のあらすじ
上昇するエレベーターの中で目を覚ました少年トーマス。
彼がたどり着いたのは、巨大な壁に囲まれた広場「グレード」だった。
そこには、彼と同じように記憶を失い、月に一度送り込まれてくる少年たちのコミュニティがあった。
彼らの周りを取り囲むのは、巨大な迷路。
壁は朝になると開き、夜になると閉じる。そして夜の迷路には、「グリーバー」と呼ばれる恐ろしい怪物が徘徊していた。
選ばれた精鋭「ランナー」たちは、毎日迷路に入り、脱出ルートを探して地図を作っていたが、3年経っても出口は見つかっていなかった。
トーマスは、ここでのルールや現状に疑問を抱き、自らもランナーとなって迷路の謎を解き明かそうとする。
そんな中、エレベーターで初めての「女性」テレサが送り込まれ、彼女が握りしめていたメモが、彼らの運命を大きく変えていく。
3.主要な登場人物とキャスト
- トーマス(演:ディラン・オブライエン)
主人公。好奇心旺盛で勇敢。既成概念にとらわれず、迷路の謎を解くために危険を冒して行動する。新入りとしてグレードにやってくる。
- テレサ(演:カヤ・スコデラリオ)
グレードに送られてきた最初で最後の女性。「彼女が最後だ」というメモを持って現れる。トーマスと過去に面識があるような素振りを見せる。
- ニュート(演:トーマス・ブローディ=サングスター)
グループの副リーダー的存在。冷静で思慮深く、リーダーのアルビーを支える。新入りのトーマスにも優しく接し、良き理解者となる。
- ミンホ(演:キー・ホン・リー)
ランナーたちを束ねるリーダー。強靭な肉体と精神力を持ち、迷路の構造を誰よりも熟知している。頼れる兄貴分。
- ギャリー(演:ウィル・ポールター)
グループの古株で、保守的な考えを持つ。ルールを重んじ、現状を乱すトーマスを敵視し、対立する。
4.映画『メイズ・ランナー』のネタバレ
※ここからは映画の核心に触れるネタバレを含みます。
・グリーバーとの死闘と記憶
トーマスとミンホは、閉まりかけた迷路に取り残されるが、知恵を使ってグリーバーを倒すことに成功する。
グリーバーの死骸から電子部品が見つかり、これが脱出の鍵になると推測する。
トーマスは記憶を取り戻すために、自らグリーバーの毒針に刺される。
回復した彼は、自分とテレサがこの実験を管理する組織「W.C.K.D」側の人間だったことを思い出す。
・グレードの崩壊と分裂
夜になっても壁が閉まらなくなり、グリーバーたちがグレードに侵入して少年たちを襲い始める。
リーダーのアルビーも命を落とし、グループは絶望に包まれる。
ギャリーは全ての災厄の原因はトーマスにあるとして彼を追放しようとするが、トーマスは脱出の道があると主張。
グループは、トーマスについていく者たちと、ギャリーに従って残る者たちに分裂する。
・脱出とW.C.K.Dの真実
トーマス、ニュート、ミンホ、テレサたちは、グリーバーが潜む迷路を突破し、出口へのパスコードを入力する。
ついに外の世界への扉が開かれ、彼らは実験室のような場所にたどり着く。
そこで見た映像には、エヴァ・ペイジ博士が映っており、太陽フレアによる地球の壊滅と、フレア・ウイルスの蔓延、そして彼らがその治療法を見つけるための実験台だったことが語られる。
博士は映像の中で自殺するが、それは彼らを「第2段階」に進めるための演技だった。
・新たな試練へ
後を追ってきたギャリーが現れ、狂乱状態でトーマスを撃とうとする。
一番幼いチャックがトーマスを庇って撃たれ、ミンホがギャリーを槍で貫く。
チャックの死を悲しむ間もなく、謎の武装集団が現れ、トーマスたちをヘリコプターに乗せて連れ去る。
眼下に広がるのは、砂漠化した荒廃した世界。
彼らの試練は終わったわけではなく、さらに過酷な「第2段階」が始まろうとしていた。
5.映画『メイズ・ランナー』の補足情報
ウェス・ボール監督の長編デビュー作
監督のウェス・ボールは、自身の短編アニメーション『Ruin』が注目され、本作で長編映画監督デビューを果たした。
低予算ながら視覚効果のバックグラウンドを活かし、迫力ある迷路の映像を作り上げた。
ミンホの人気
キー・ホン・リー演じるミンホは、その頼りがいのあるキャラクターと高い身体能力で、原作ファン・映画ファン双方から絶大な人気を誇る。
「走る」という映画のテーマを最も体現しているキャラクターの一人である。
若手スターの登竜門
ディラン・オブライエン(『ティーン・ウルフ』)、トーマス・ブローディ=サングスター(『ラブ・アクチュアリー』)、ウィル・ポールター(『ミッドサマー』)など、実力派の若手俳優たちが集結しており、彼らの出世作としても知られている。
6.映画『メイズ・ランナー』の感想
謎が謎を呼ぶ展開と、閉鎖空間でのサバイバルという設定が非常にスリリングだ。
巨大な壁が動く音、迫りくるグリーバーの不気味さ。
映画館で観るべき迫力があり、冒頭から一気に物語に引き込まれる。
単なる脱出劇ではなく、少年たちのコミュニティ形成や対立といった人間ドラマもしっかり描かれているのが良い。
特に、変化を恐れるギャリーと、自由を求めるトーマスの対立構造は、社会の縮図のようにも見える。
そして何と言っても、ミンホがかっこいい。
頼れるリーダーとして先頭を走る姿は、主人公を食うほどの存在感がある。
ラストの展開は衝撃的で、多くの謎を残したまま終わるが、それがかえって「続きが観たい!」と思わせる良い引きになっている。
ヤングアダルト小説原作映画の中でも、特に完成度の高い一作だと感じた。
まとめ
本記事では、映画『メイズ・ランナー』を、あらすじからネタバレ、トリビアに至るまで徹底的に解説してきた。
この映画は、記憶と自由を奪われた若者たちが、自らの足で運命を切り開こうとする疾走感あふれるサバイバル・アクションである。
迷路を抜けた彼らを待ち受けるのは、希望か、それともさらなる絶望か。物語は砂漠の迷宮へと続いていく。