映画『TIME/タイム』
あらすじ・ネタバレ・感想
「Time is Money」
その言葉が文字通りの意味を持つ近未来。
人類は遺伝子操作によって25歳で成長が止まり、そこから先は左腕に刻まれた余命時間が通貨となる。
2011年に公開された『TIME/タイム』は、ガタカのアンドリュー・ニコル監督が放つ、斬新な設定のSFアクションスリラーである。
コーヒー1杯4分、バス代2時間。
貧しい者はその日暮らしの労働で時間を稼ぎ、富める者は永遠の命を享受する、究極の格差社会。
本記事では、あらすじからキャスト紹介、そして物語の核心に迫る完全ネタバレ解説まで、掘り下げていく。
1.映画『TIME/タイム』の作品情報
| タイトル | TIME/タイム (In Time) |
|---|---|
| 監督 | アンドリュー・ニコル |
| 公開年 | 2011年 |
| キャスト | ジャスティン・ティンバーレイク, アマンダ・サイフリッド, キリアン・マーフィー, アレックス・ペティファー 他 |
| ジャンル | SF, アクション, スリラー |
2.映画『TIME/タイム』のあらすじ
スラムゾーン「デイトン」に住む28歳の青年ウィル・サラスは、その日1日を生きるための時間を稼ぐ過酷な生活を送っていた。
ある夜、彼はバーで100年以上もの時間を保有する男ハミルトンを、ギャングから救い出す。
永遠の命に絶望していたハミルトンは、眠っているウィルに116年分の時間を譲り渡し、自ら命を絶つ。
莫大な時間を手に入れたウィルだったが、直後に母親がバス代の高騰により時間切れで死亡してしまう。
理不尽な社会システムへの復讐を誓ったウィルは、富裕層ゾーン「ニュー・グリニッジ」へと乗り込む。
そこで彼は、大富豪の娘シルビア・ワイスと出会う。
しかし、ハミルトン殺害の容疑で時間監視局のレオンに追われ、ウィルはシルビアを人質にして逃亡を図る。
3.主要な登場人物とキャスト
- ウィル・サラス(演:ジャスティン・ティンバーレイク)
主人公。スラム育ちで、時間を無駄にしない行動力を持つ。母の死をきっかけに、富裕層が独占する時間を奪い返し、システムを崩壊させようとする。
- シルビア・ワイス(演:アマンダ・サイフリッド)
ヒロイン。世界一の大富豪の娘。何不自由ない生活を送っているが、何も起きない退屈な日々に嫌気が差している。ウィルとの逃避行でスリルと生きる意味を見出す。
- レイモンド・レオン(演:キリアン・マーフィー)
時間監視局のベテラン捜査官。スラム出身という過去を持つが、現在は秩序を守るためにウィルを執拗に追跡する。
- フィリップ・ワイス(演:ヴィンセント・カーシーザー)
シルビアの父親。時間をローンとして貸し付ける時間銀行を経営し、事実上の不老不死を得ている世界の支配者層。
- ヘンリー・ハミルトン(演:マット・ボマー)
100年以上の時間を持ちながら、精神的に疲弊しきっている男。「少数の者が永遠に生きるためには、多数の者が死ななければならない」という世界の真実をウィルに告げる。
4.映画『TIME/タイム』のネタバレ
※ここからは物語の核心に触れるネタバレを含みます。
・義賊となった二人
追われる身となったウィルとシルビアは、生き延びるためにシルビアの父が経営する時間銀行を襲撃し始める。
奪った時間をスラム街の人々に無料で配り歩く彼らは、やがて義賊として貧困層の英雄となっていく。
シルビアは父に身代金を要求するが、父が支払いを拒否したことで、完全に決別しウィルと共に戦う覚悟を決める。
・100万年の強奪
システムを崩壊させるため、二人はニュー・グリニッジにあるワイスの本社ビルへ侵入し、保管庫にある100万年の入ったカプセルを強奪する。
追跡してきたレオンの手を逃れ、スラム街にたどり着いた二人は、100万年を無料配布ステーションの少女に託す。
人々は時間を得て、仕事を放棄し、立ち入り禁止区域を越えてニュー・グリニッジへと雪崩れ込んでいく。
・レオンの最期と新たな旅
執拗に二人を追ってきたレオンだったが、職務に没頭するあまり、自身の日給を受け取り忘れ、ウィルたちの目の前で時間切れとなり死亡する。
ウィルとシルビアも残り時間が数秒となるが、レオンの車に残されていた時間日給を間一髪で手に入れ、生き延びる。
社会システムは崩壊し始めた。指名手配犯となった二人は、さらに大きな銀行を襲うため、銃を手に次のターゲットへと向かっていく。
5.映画『TIME/タイム』の補足情報
アンドリュー・ニコル監督の作家性
監督・脚本のアンドリュー・ニコルは、『ガタカ』や『トゥルーマン・ショー』(脚本)など、管理社会や近未来のディストピアを描くことに定評がある。
本作でも寿命の格差という極端な設定を通して、現代の資本主義社会の歪みを風刺している。
こだわりの車両デザイン
劇中に登場する車は、1960~70年代のクラシックカー(ダッジ・チャレンジャーやリンカーン・コンチネンタルなど)をベースに、未来的な駆動音や装飾を加えたレトロフューチャーなデザインになっている。
これは、技術の進歩が止まってしまった世界観を表現しているとも言われている。
全員が25歳の見た目
設定上、登場人物は全員25歳の外見をしている。
そのため、ウィルの母親役のオリヴィア・ワイルド(実年齢はジャスティンより年下)や、シルビアの父親役、祖母役など、見た目の年齢差がない中で親子や祖父母を演じるという、奇妙だが興味深いキャスティングが行われている。
6.映画『TIME/タイム』の感想
時間=通貨というアイデア一発で、ここまでスリリングな世界観を作り上げた点は見事だ。
腕の数字がゼロになると即死するという設定が、日常のあらゆるシーンに強烈なサスペンスを生んでいる。
走らなければ死ぬ、という貧困層の切迫感と、優雅に歩く富裕層の対比は、現代社会のカリカチュアとして非常に鋭い。
ただ、後半の展開については賛否が分かれるところだろう。
SF的な社会構造の変革や哲学的な問いかけよりも、後半はボニー&クライド的な銀行強盗アクションの色が濃くなる。
100万年をばら撒いて解決という結末も、その後のインフレや社会混乱を考えると少し楽観的すぎると感じるかもしれない。
とはいえ、ジャスティン・ティンバーレイクとアマンダ・サイフリッドの美男美女コンビが走り回る姿は絵になるし、エンターテインメントとしては十分に楽しめる。
「もし自分の寿命が腕に表示されていたら?」と、観終わった後にふと考えてしまうような、印象に残る一作だ。
まとめ
本記事では、映画『TIME/タイム』を、あらすじからネタバレ、トリビアに至るまで徹底的に解説してきた。
この映画は、寿命さえも売買される究極の資本主義社会を通して、生きるために必要なものは何かを問いかけている。
時計の針が止まるその瞬間まで、あなたは何をして過ごすだろうか?