映画『エリジウム』
あらすじ・ネタバレ・感想
2154年、人類は二極化していた。
一握りの富裕層は、大気汚染も貧困も病気もないスペースコロニー「エリジウム」で永遠の命を享受し、残りの大多数は荒廃しスラム化した地球で這いつくばって生きていた。
2013年に公開された『エリジウム』は、『第9地区』で鮮烈なデビューを飾ったニール・ブロムカンプ監督が描く、格差社会をテーマにしたSFアクション大作である。
工場事故で余命5日を宣告された男マックス。
彼が生き延びる唯一の方法は、厳重に警備されたエリジウムへ侵入し、どんな病気も治す医療ポッドを使うこと。
そのために彼は、自らの肉体に強化外骨格を埋め込み、無謀な戦いに挑む。
本記事では、あらすじからキャスト紹介、そして物語の核心に迫る完全ネタバレ解説まで、掘り下げていく。
1.映画『エリジウム』の作品情報
| タイトル | エリジウム (Elysium) |
|---|---|
| 監督 | ニール・ブロムカンプ |
| 公開年 | 2013年 |
| キャスト | マット・デイモン, ジョディ・フォスター, シャールト・コプリー, アリシー・ブラガ 他 |
| ジャンル | SF, アクション, スリラー |
2.映画『エリジウム』のあらすじ
かつて泥棒だったマックスは、今は足を洗い、アーマダイン社の工場でドロイド製造の労働者として働いていた。
しかしある日、作業中の事故で致死量の放射線を浴びてしまい、余命5日と宣告される。
エリジウムにある最先端医療ポッドに入れば助かることを知っているマックスは、闇商人のスパイダーに助けを求める。
スパイダーは、エリジウムへの渡航チケットと引き換えに、ある危険な任務をマックスに持ちかける。
それは、エリジウムの市民である富豪の脳から重要データを盗み出すこと。
衰弱した体では任務遂行が不可能だと悟ったマックスは、神経と直結する強化外骨格を身体に埋め込む手術を受ける。
一方、エリジウムの防衛長官デラコートは、地球からの不法移民を冷酷に排除し、さらにはクーデターを目論んでいた。
マックスが狙うターゲットは、そのクーデターの鍵を握る人物だった。
3.主要な登場人物とキャスト
- マックス・ダ・コスタ(演:マット・デイモン)
主人公。ロサンゼルスのスラムで暮らす労働者。余命わずかとなり、生きるためにサイボーグ化してエリジウムを目指す。
- ジェシカ・デラコート(演:ジョディ・フォスター)
エリジウムの防衛長官。エリジウムの純潔を守るためには手段を選ばない冷徹な女性。自身の権力を盤石にするため、クーデターを画策する。
- クルーガー(演:シャールト・コプリー)
デラコート直属の潜伏工作員(傭兵)。地球上で汚い仕事を請け負う凶暴な男。日本刀や爆発物を操り、執拗にマックスを追い詰める。
- フレイ(演:アリシー・ブラガ)
マックスの幼馴染で看護師。白血病の娘マチルダを救うため、エリジウムへ行くことを願っている。マックスと再会し、運命を共にする。
- スパイダー(演:ヴァグネル・モウラ)
地球の闇商人でありハッカー集団のリーダー。エリジウムへの密航ビジネスを取り仕切るが、実は世界の変革を望んでいる革命家の一面も持つ。
4.映画『エリジウム』のネタバレ
※ここからは物語の核心に触れるネタバレを含みます。
・カーライルの襲撃とデータの強奪
マックスたちは、エリジウムのシステムを再起動できるプログラムを持ったアーマダイン社CEO、カーライルを襲撃する。
激しい銃撃戦の末、カーライルは死亡するが、マックスは彼の脳内データを自身の脳へとダウンロードすることに成功する。
しかしそのデータは暗号化されており、さらにクルーガーたちの追跡を受けることになる。
・エリジウムへの不時着
クルーガーにフレイとマチルダを人質に取られたマックスは、手榴弾で自爆覚悟の脅しをかけ、クルーガーの宇宙船ごとエリジウムへ向かう。
船はエリジウムに不時着し、マックスはフレイたちを守るために戦う。
一方、デラコートはデータを手に入れ自らが支配者になろうとするが、暴走したクルーガーによって殺害されてしまう。
・クルーガーとの死闘
クルーガー自身も強化外骨格を装着し、マックスとの最終決戦に挑む。
圧倒的な戦闘力の前にマックスは苦戦するが、機転を利かせてクルーガーのエネルギー供給を断ち、彼を倒すことに成功する。
・命を懸けたリブート
マックスはスパイダーと共にエリジウムのメインコンピューター室へたどり着く。
しかし、リブート・プログラムを実行するには、脳内のデータをダウンロードする必要があり、それはデータ保護機能によってマックスの死を意味していた。
マックスは無線でフレイに別れを告げ、自らの命と引き換えにボタンを押す。
・新たなる世界へ
システムがリブートされ、地球上のすべての人間がエリジウム市民として登録される。
フレイの娘マチルダは医療ポッドで治療を受け、回復する。
そして、多数の医療船が地球へ向けて発進していく。
マックスの自己犠牲により、特権階級の支配は終わり、人類に平等な医療がもたらされたのだった。
5.映画『エリジウム』の補足情報
ニール・ブロムカンプ監督の社会風刺
前作『第9地区』でアパルトヘイトを描いたブロムカンプ監督は、本作で現代の貧富の格差や移民問題、医療格差をテーマにしている。
富裕層だけが高度な医療を受けられるという設定は、公開当時のアメリカの医療保険制度改革などの社会情勢を色濃く反映している。
エリジウムのデザイン
スペースコロニー「エリジウム」のデザインは、1970年代にNASAが提唱したスタンフォード・トーラスという宇宙居住施設のコンセプトに基づいている。
美しい居住区と、裏側の機械的な構造の対比がリアルに描かれている。
シャールト・コプリーの怪演
『第9地区』では気弱な主人公を演じたシャールト・コプリーが、本作では極悪非道な傭兵クルーガーを怪演している。
南アフリカ訛りの英語と、予測不能な狂気じみた行動は、主役のマット・デイモンを食うほどの強烈なインパクトを残した。
6.映画『エリジウム』の感想
圧倒的な映像美と、泥臭いバイオレンスアクションの融合が見事な一作だと感じた。
荒廃した地球の埃っぽさと、エリジウムの無菌室のような清潔さのコントラストが、絶望的な格差を視覚的に訴えかけてくる。
特にマット・デイモンが装着する強化外骨格のガジェット感がたまらない。
ボルトで肉体に直接固定される痛々しさと、それによって得られる超人的なパワーは
男心をくすぐる。メカニカルなデザインと、重量感のあるアクションシーン良かった。
一方で、ストーリー展開にはやや強引である。
あれほど強固なセキュリティのエリジウムが、意外と簡単に突破されたり、ラストの解決策が少し単純すぎると感じるかもしれない。
しかし、マックスの「自分の命を使って、他人の未来を救う」という決断には胸を打たれた。
ただのアクション映画ではなく、現代社会が抱える問題に鋭く切り込んだ、見応えのあるSFドラマとして仕上がっていると思った。
まとめ
本記事では、映画『エリジウム』を、あらすじからネタバレ、トリビアに至るまで徹底的に解説してきた。
この映画は、テクノロジーが進化しても変わらない人間の業と、それでも失われない自己犠牲の尊さを描いている。
空に浮かぶ理想郷は、誰のためのものなのか。その答えを、ぜひその目で確かめてほしい。