映画『アフター・アース』
【なぜ巨大鳥は助けてくれたのか】

映画『アフター・アース』のポスター。荒廃した地球の風景をバックに立つキタイとサイファ

画像引用元: IMDb

人類が地球を放棄して1000年後。
かつての故郷は、人類を抹殺するために独自に進化した生物たちが支配する危険地帯となっていた。

2013年に公開されたアフター・アースは、ウィル・スミスとジェイデン・スミスが幸せのちから以来の親子共演を果たしたSFアクション大作である。
監督はシックス・センスのM・ナイト・シャマラン。

不時着事故により未知の惑星と化した地球に取り残された父と子。
重傷を負った父の指示を受け、息子はたった一人で救難信号を発信するために過酷な旅に出る。

本記事では、あらすじからキャスト紹介、そして物語の核心に迫るネタバレ解説まで、掘り下げていく。

1.映画『アフター・アース』の作品情報


専用スーツを着て、武器のカトラスを構えるジェイデン・スミス

画像引用元: IMDb

タイトル アフター・アース
(After Earth)
監督 M・ナイト・シャマラン
公開年 2013年
キャスト ジェイデン・スミス, ウィル・スミス, ソフィー・オコネドー, ゾーイ・クラヴィッツ 他
ジャンル SF, アクション, アドベンチャー

2.映画『アフター・アース』のあらすじ


西暦3072年。環境破壊により地球を追われた人類は、惑星ノヴァ・プライムに移住していた。
しかし、そこには先住のエイリアンが放った怪物アーサの脅威があった。
アーサは視覚を持たないが、人間が恐怖を感じた時に発するフェロモンを感知して襲いかかってくる。

伝説的な将軍サイファ・レイジは、恐怖を完全に消し去る技術ゴーストを体得し、人類の英雄となっていた。
一方、彼の息子キタイは、レンジャー部隊の入隊試験に落ち、偉大な父との距離感に悩んでいた。

サイファの引退前の最後の任務に同行することになったキタイだったが、宇宙船が小惑星嵐に巻き込まれ、大破。
二人が不時着したのは、人類抹殺のために進化を遂げた隔離惑星、かつての地球だった。

サイファは両足を骨折し動けないため、キタイは100キロ離れた場所に落ちた船尾にある緊急救難信号機を目指し、たった一人で危険な地球を横断しなければならなくなる。

3.主要な登場人物とキャスト


  • キタイ・レイジ(演:ジェイデン・スミス)

    不安げな表情で森の中を進むキタイ

    画像引用元: IMDb

    サイファの息子。優秀な身体能力を持つが、精神的に未熟で恐怖を克服できていない。姉センシの死を自分のせいだと責め、父に認められたいと強く願っている。

  • サイファ・レイジ(演:ウィル・スミス)

    重傷を負いながらも、モニター越しに冷静に指示を出すサイファ

    画像引用元: IMDb

    人類最強の兵士。ゴーストの達人であり、一切の恐怖を感じない。厳格で感情を表に出さないため、息子との関係は冷え切っている。不時着で重傷を負う。

  • ファイア・レイジ(演:ソフィー・オコネドー)

    夫と息子を心配そうに見守る母ファイア

    画像引用元: IMDb

    サイファの妻でありキタイの母。夫に対し、兵士としてではなく父として息子に接するよう諭す。

  • センシ・レイジ(演:ゾーイ・クラヴィッツ)

    キタイの記憶の中に現れる姉センシ

    画像引用元: IMDb

    キタイの姉。過去にアーサの襲撃から幼いキタイを守り、命を落とした。キタイのトラウマの原因となっている。

  • アーサ(クリーチャー)

    鋭い爪と牙を持つ巨大なエイリアン生物アーサ

    画像引用元: IMDb

    エイリアンが作り出した生物兵器。目が見えない代わりに、獲物が発する恐怖のフェロモンを感知して狩りを行う。今回の不時着で檻から解き放たれてしまう。

4.映画『アフター・アース』のネタバレ

※ここからは物語の核心に触れるネタバレを含みます。

・過酷な地球の環境

キタイは父の無線指示に従い、酸素カプセルを管理しながら進む。地球は夜になると極寒となり凍死する危険があるため、ホットスポットと呼ばれる地熱地帯を目指さなければならない。
途中、進化したヒヒの群れや毒ヒルに襲われ、キタイは死に直面するが、その度に父の冷静な声に導かれ、なんとか危機を脱する。

・大怪鳥との絆

巨大な鷲に捕まり巣へ連れ去られたキタイは、そこで他の捕食者から雛鳥を守ろうとして失敗する。
その後、寒さで凍死しかけたキタイを、恩義を感じた親鳥が自らの羽毛で温め、命を救ってくれる。親鳥はキタイを守るために犠牲となる。

・恐怖の克服とゴースト

ついに船尾を発見したキタイだったが、そこには檻から逃げ出したアーサが待ち構えていた。
通信機が故障し、父の助けもない絶体絶命の状況。
恐怖に飲み込まれそうになるキタイだったが、父の教えを思い出す。
彼は心を鎮め、恐怖を消し去ることでアーサから自身の姿を隠すゴーストの状態になることに成功する。

・決着と帰還

姿を見失い混乱するアーサに対し、キタイは冷静に反撃し、ついに怪物を倒す。
山頂で緊急救難信号機を起動し、救難信号の発信に成功する。
救助隊によって救出されたキタイは、治療を受けた父と再会する。
サイファは息子を認め、敬礼ではなく抱擁を交わす。
キタイは「お母さんと一緒に働きたい」と告げ、二人の絆は修復されるのだった。

5.映画『アフター・アース』の補足情報

ウィル・スミスの原案

本作の原案はウィル・スミス自身によるもの。当初は現代の兵士がキャンプ中に事故に遭う物語だったが、スケールを拡大し、SF設定へと変更された。

リアルなロケ地

地球の壮大な自然を描くため、コスタリカの熱帯雨林や、スイスの雪山、アイスランドの火山地帯など、世界各地でロケーション撮影が行われた。

CGだけに頼らない圧倒的な風景美が見どころの一つとなっている。

親子共演の是非

幸せのちからでの共演は絶賛されたが、本作ではジェイデン・スミスの演技や、ウィル・スミスが彼をスターにするために企画したという親バカ的な側面が批判の的となり、興行的にも批評的にも苦戦を強いられた。

6.映画『アフター・アース』の感想

本作は公開当時から評価が真っ二つに分かれる、いわゆる賛否両論の作品だ。

多くの批判が集まったのは、やはりストーリーの単調さとジェイデン・スミスの演技力だ。
偉大な父を持つ息子の成長物語というテーマは普遍的だが、展開が一本道で意外性に欠ける。
特にシャマラン監督の作品には驚きのどんでん返しを期待するファンも多く、その点での肩透かし感は否めない。
また、ウィル・スミスが終始怪我で動けず、指示を出すだけの役割に徹しているため、「ウィル・スミスの無駄遣い」という声も多かった。

しかし、親ばか映画の一言で片付けてしまうには惜しい、作り手たちの並々ならぬ情熱が詰まった作品であることも忘れてはならない。
コスタリカの熱帯雨林やアイスランドの火山地帯など、過酷な環境で行われたロケーション撮影が生み出す映像は、圧倒的なリアリティを持っている。
VFXに関しても、Tippett Studioなどが手掛けたクリーチャーデザインや、Pixomondoによるウイングスーツの飛行シーンなど、細部までこだわり抜かれており、そのクオリティは一見の価値がある。
特に、22種類もの形状変化が可能な万能武器カトラスC-40のギミックは、SFファンの心をくすぐる素晴らしいデザインだ。

何より、「Fear is a choice」という哲学的なテーマは深く、現代社会を生きる私たちにも通じる教訓がある。
劇中での大怪鳥の献身的な愛と自己犠牲は、名シーンだ。
また、批判されがちなジェイデンの演技だが、父への反抗心を爆発させるシーンなどは、実際の親子関係があるからこその迫真の演技だったと評価する声も根強い。
派手なSFアクションとしてだけでなく、普遍的な親子の絆と成長を描いたドラマとして見れば、十分に心を揺さぶられる作品と言えるだろう。

まとめ

本記事では、映画『アフター・アース』を、あらすじからネタバレ、トリビアに至るまで徹底的に解説してきた。

この映画は、恐怖を乗り越え、自らの足で立つことの意味を問いかける、壮大な親子の物語だった。

1000年後の地球で、少年はどう成長したのか。その軌跡をぜひ見届けてほしい。