~隠れた名作~ 映画『デイブは宇宙船』
あらすじ・ネタバレ・小ネタ解説

映画『デイブは宇宙船』のポスター。白いスーツを着た巨大なデイブと、その足元にいる小さな宇宙人たち

画像引用元: IMDb

ニューヨークの自由の女神像の近くに、一人の男が落下してきた。
彼の名前はデイブ。一見すると普通の人間だが、その正体は、小さな宇宙人が操縦する人型宇宙船だった。

2008年に公開された『デイブは宇宙船』は、コメディの帝王エディ・マーフィが主演を務めたSFコメディ映画である。

故郷の惑星ニルを救うため、地球の海の水を奪いにやってきた彼らだったが、地球人との交流を通じて、彼らの心に予期せぬ変化が訪れる。
無表情で奇妙な動きをするデイブが巻き起こす騒動と、デイブの体内で繰り広げられるクルーたちのドラマ。

1.映画『デイブは宇宙船』の作品情報


白いスーツを着て街を歩くデイブ。その表情はぎこちなく、周囲から浮いている

画像引用元: IMDb

タイトル デイブは宇宙船
(Meet Dave)
監督 ブライアン・ロビンス
公開年 2008年(日本公開2009年)
キャスト エディ・マーフィ, エリザベス・バンクス, ガブリエル・ユニオン, エド・ヘルムズ 他
ジャンル SF, コメディ, ファンタジー

2.映画『デイブは宇宙船』のあらすじ


惑星ニルは深刻なエネルギー不足に陥っていた。彼らは資源である塩を求めて地球に目をつけ、海の水をすべて吸い上げる計画を立てる。
そのために必要なオーブを地球に送り込んだが、手違いで少年ジョシュの部屋の金魚鉢に落ちてしまう。

オーブを回収するため、ニル星人は船長そっくりの人型宇宙船に乗り込み、ニューヨークへ降り立つ。
船長は、地球人に怪しまれないようデイブ・ミン・チャンと名乗り、地球文化を学びながらオーブの捜索を開始する。

しかし、デイブはジョシュの母親であるジーナと出会う。
彼女に親切にされたことで、船内のクルーたちは初めて「感情」や「優しさ」に触れ、戸惑いながらも変化していく。

3.主要な登場人物とキャスト


  • デイブ/船長(演:エディ・マーフィ)

    無表情でホットドッグを大量に頬張るデイブ

    画像引用元: IMDb

    本作の主人公。デイブは全長180cmの人型宇宙船。船長はその頭部にあるブリッジで指揮を執るニル星人のリーダー。船長は非常に厳格で感情を持たないが、地球での体験を通じて変化していく。

  • ジーナ・モリソン(演:エリザベス・バンクス)

    デイブに優しく語りかける画家のジーナ

    画像引用元: IMDb

    ニューヨークで画家をしているシングルマザー。変わり者のデイブを放っておけず世話を焼く。彼女の優しさが、ニル星人たちの心を動かすきっかけとなる。

  • ナンバー3(演:ガブリエル・ユニオン)

    ブリッジで操作パネルに向かう文化担当官のナンバー3

    画像引用元: IMDb

    船の文化担当官。地球の文化や言語を検索し、デイブの行動をサポートする。密かに船長に恋心を抱いている。

  • ナンバー2(演:エド・ヘルムズ)

    船の副官。非常に真面目で任務遂行を第一に考える。地球に感化されていく船長に不信感を抱き、反乱を起こして指揮権を奪おうとする。

  • ジョシュ・モリソン(演:オースティン・リンジー・マイヤーズ)

    ジーナの息子。学校でいじめられているが、科学に詳しい。オーブを拾った張本人で、デイブと友情を育む。

  • ドゥーリー巡査(演:スコット・カーン)

    デイブの奇行を目撃し、彼を怪しんで執拗に追跡する警察官。コメディリリーフ的な役割を果たす。

4.映画『デイブは宇宙船』のネタバレ

※ここからは物語の核心に触れるネタバレを含みます。

・感情の芽生えと反乱

デイブはジーナと過ごすうちに、地球人に対して愛着を持ち始める。
しかし、副官のナンバー2は、船長が任務よりも地球人を優先していると判断し、クーデターを起こして船長を追放してしまう。
指揮権を掌握したナンバー2は、オーブを使って地球の水を吸い尽くす計画を強行しようとする。

・船長の帰還と告白

船外に放り出された船長だったが、困難な状況に直面したことをきっかけに自分の本心をナンバー3に告白する。
一方、船内ではクルーたちも、地球の文化に感化され、ナンバー2の冷酷な方針に反発し始めていた。

・1%のエネルギーと決断

船長たちはデイブを操縦してオーブを回収しようとするが、船のエネルギー残量は残りわずか1%となっていた。
このエネルギーを使ってオーブを止めれば、彼らは故郷ニル星に帰還する動力を失ってしまう。
しかし、船長とクルーたちは、自分たちの帰還よりも、ジーナやジョシュ、そして地球を救うことを選ぶ。
彼らは残りの全エネルギーを使ってオーブを確保し、停止させることに成功する。

・デイブの停止と復活

力を使い果たしたデイブは機能を停止し、その場に倒れ込んでしまう。
動かなくなったデイブを前に悲しむジーナとジョシュだったが、ジョシュは警官が持っていたスタンガン でデイブに電気ショックを与えた。結果、その電力によってシステムが再起動し、デイブは息を吹き返す。

・帰還

復活したデイブとクルーたちは、ジーナやジョシュと別れを惜しみつつ、救われた地球を後にする。
船長とナンバー3は結ばれ、ニル星人たちは新たな価値観と共に、無事に故郷へと帰還するのだった。

5.映画『デイブは宇宙船』の補足情報・小ネタ解説

エディ・マーフィの顔芸と身体能力

本作の最大の見どころは、やはりエディ・マーフィの演技だ。
彼は無表情で機械的な動きをする宇宙船と感情豊かで尊大な船長の二役を見事に演じ分けている。
特にデイブの動きは、バスター・キートンやチャップリンといったサイレント映画のコメディアンを参考にしている。
瞬きを極端に減らし、ぎこちない笑顔を作る顔芸や、普段のロボットのような動きは、CGではなく彼自身の身体能力によるものである。

スタートレックへのオマージュ

デイブの頭部にある司令室のセットやクルーの構成は、明らかにスタートレックシリーズを意識している。
船長席のデザイン、ユニフォームの色分け、そしてモニター越しに外の世界を見る構図は、トレッキーならニヤリとする演出だ。
また、副官のナンバー2という呼び名は、新スタートレックのライカー副長を連想させる。

ニューヨークでのロケ撮影

本作は実際にニューヨークでロケーション撮影が行われた。
自由の女神があるリバティ島、タイムズスクエア、セントラルパークなど、観光名所が数多く登場する。
特に、真っ白なスーツを着たエディ・マーフィがタイムズスクエアを歩くシーンは、実際に多くの通行人がいる中で撮影され、その異様さがリアルな反応を引き出している。

脚本家の意外な経歴

脚本を担当したのは、ビル・コルベットとロブ・グリーンバーグ。
ビル・コルベットは、カルト的な人気を誇るSFコメディ番組ミステリー・サイエンス・シアター3000の脚本家兼出演者として知られている。
彼のB級SF映画への愛情とツッコミ精神が、本作のバカバカしい設定を大真面目にやるというスタイルに反映されている。

「Stayin' Alive」のダンスシーン

映画のハイライトの一つが、ビージーズの名曲「Stayin' Alive」に合わせてデイブが街を闊歩するシーンだ。
これは映画サタデー・ナイト・フィーバーのパロディであり、デイブが地球の文化を勘違いして学習していく過程をコミカルに描いている。
エディ・マーフィのリズム感の良さが際立つ名シーンとなっている。

評価と興行収入

残念ながら公開当時の評価は芳しくなく、ゴールデンラズベリー賞の最低男優賞などにノミネートされてしまった。
興行収入も製作費を回収するのに苦労したが、その独特な設定と何も考えずに笑える気楽さから、後にDVDや配信で観た視聴者からは意外とハートフルで面白い、隠れた良作と再評価する声も上がっている。