映画『移動都市/モータル・エンジン』
あらすじ・ネタバレ・小ネタ徹底解説
たった60分で文明を崩壊させた最終戦争から数百年後。
人類は地殻変動で荒廃した地上を捨て、キャタピラで移動する巨大都市での生活を選んだ。
そこは、大都市が小都市を捕食し資源を奪う、弱肉強食の世界だった。
2018年に公開された『移動都市/モータル・エンジン』は、フィリップ・リーヴの小説を原作に、ロード・オブ・ザ・リングのピーター・ジャクソンが製作・脚本を手掛けたSFファンタジー大作である。
巨大移動都市ロンドンに潜入し、亡き母の復讐を果たそうとする少女ヘスター。
彼女との出会いにより、ロンドンから放り出された青年トム。
二人の運命が交錯するとき、世界を揺るがす戦いの幕が上がる。
1.映画『移動都市/モータル・エンジン』の作品情報
| タイトル | 移動都市/モータル・エンジン (Mortal Engines) |
|---|---|
| 監督 | クリスチャン・リヴァーズ |
| 公開年 | 2018年(日本公開2019年) |
| キャスト | ヘラ・ヒルマー, ロバート・シーハン, ヒューゴ・ウィーヴィング, ジヘ 他 |
| ジャンル | SF, アクション, ファンタジー |
2.映画『移動都市/モータル・エンジン』のあらすじ
「60分戦争」によって古代の技術文明が滅びてから数百年後。
人々は移動都市の上で暮らし、大きな都市が小さな都市を捕まえて、その部品や燃料を奪うことで生き延びていた。
巨大移動都市ロンドンは、資源を求めてヨーロッパ大陸へ侵攻し、小さな採掘都市を捕食する。
その混乱に乗じて、顔に傷を持つ少女ヘスター・ショウはロンドンへ潜入し、権力者であるサディアス・ヴァレンタインの命を狙う。
しかし、暗殺はロンドンの歴史家見習いトム・ナッツワーシーによって阻止される。
逃走するヘスターから、ヴァレンタインが彼女の母を殺したという衝撃の事実を聞かされたトムは、口封じのためにヘスターと共に荒野へ突き落とされてしまう。
故郷を追われた二人は、反移動都市同盟の空賊アナ・ファンたちと出会い、ヴァレンタインが企む恐ろしい計画の存在を知ることになる。
3.主要な登場人物とキャスト
- ヘスター・ショウ(演:ヘラ・ヒルマー)
主人公。幼い頃に母を殺され、自身も顔に深い傷を負った。母の敵であるヴァレンタインへの復讐心だけで生き抜いてきた孤独な戦士。
- トム・ナッツワーシー(演:ロバート・シーハン)
ロンドン博物館の歴史家見習い。古代技術に詳しく、移動都市の生活しか知らない温室育ちの青年。ヘスターとの出会いで運命が大きく変わる。
- サディアス・ヴァレンタイン(演:ヒューゴ・ウィーヴィング)
ロンドンのギルド長であり英雄的存在。しかしその裏では、古代の最終兵器メデューサを復活させ、世界を支配しようと目論む冷酷な野心家。
- アナ・ファン(演:ジヘ)
反移動都市同盟のリーダーであり、凄腕の空賊。ヴァレンタインの野望を阻止するため、ヘスターとトムを助け、共に戦う。
- シュライク(演:スティーヴン・ラング)
復活者と呼ばれる、死体を機械化して蘇らせた兵士。かつて孤児のヘスターを育てたが、彼女が約束を破って逃げ出したため、執拗に追跡する。
- キャサリン・ヴァレンタイン(演:レイラ・ジョージ)
サディアスの娘。父を尊敬していたが、彼の残酷な本性を知り、ロンドンの人々を守るために立ち上がる。
4.映画『移動都市/モータル・エンジン』のネタバレ
※ここからは物語の核心に触れるネタバレを含みます。
・メデューサの復活とシュライクの最期
ヴァレンタインの目的は、かつて世界を滅ぼした量子エネルギー兵器メデューサを復活させ、東方の巨大な壁を破壊して、豊かな資源を持つ定住都市へ侵攻することだった。
一方、ヘスターを追ってきたシュライクは、トムと心を通わせる彼女の姿を見て、かつての約束(彼女も機械にして悲しみを消すこと)よりも彼女の幸せを願い、追跡をやめる。
シュライクはヘスターに母の形見を渡して機能を停止する。
・盾の壁での攻防
ロンドンは盾の壁に接近し、メデューサの一撃で防御壁を破壊する。
アナ・ファン率いる空賊部隊は、メデューサの発射を阻止するためにロンドンへ決死の突入を敢行する。
ヘスターとトムは、母から託されたクラッシュ・ドライブを使ってメデューサを止めるため、セント・ポール大聖堂へ向かう。
・ロンドンの停止
アナ・ファンは自らの飛行船をメデューサの制御室に着陸させ、時間を稼ぐ。
ヘスターはヴァレンタインと対峙し、激しい戦いの末、トムが操縦する飛行機で脱出する。
ヴァレンタインは逃げようとするが、暴走したロンドンのキャタピラに巻き込まれ、自らの野望と共に押しつぶされて死亡する。
娘のキャサリンとトムによってロンドンのエンジンは停止され、侵攻は食い止められた。
・結末
ロンドンの市民たちは、定住都市の人々によって受け入れられる。
移動して奪う時代は終わり、共に生きる新しい時代が始まった。
ヘスターとトムは、アナの遺した飛行船に乗り込み、二人で世界を見る旅に出る。
5.映画『移動都市/モータル・エンジン』の補足情報・小ネタ解説
古代の遺物「ミニオンズ」
冒頭のロンドン博物館のシーンで、トムが古代アメリカの神像として紹介しているのは、なんと怪盗グルーシリーズのミニオンズのフィギュアである。
1000年後の未来では、プラスチック製の人形が貴重な歴史的遺物として扱われているという、皮肉とユーモアが込められた小ネタだ。
宮崎駿作品へのリスペクト
原作者のフィリップ・リーヴや製作陣は、宮崎駿監督のアニメーション作品から多大な影響を受けていることを公言している。
巨大な移動都市のデザインはハウルの動く城を彷彿とさせ、空賊や飛行機械のデザインには天空の城ラピュタのエッセンスが感じられる。
また、赤い飛行機に乗るヒロインたちの活躍は紅の豚へのオマージュとも取れる。
60分戦争とメデューサ
物語の背景にある「60分戦争」とは、現代文明を滅ぼした最終戦争のことである。
この戦争には量子エネルギー兵器メデューサなどが使用され、地殻変動を引き起こした。
劇中でスクリーン・エイジと呼ばれる現代文明のデータはほとんど失われており、紙の本やアナログな機械が貴重品となっている設定も面白い。
圧倒的なスケールのVFX
VFXを担当したのは、ロード・オブ・ザ・リングやアバターで知られるWETAデジタル。
全長2.5km、高さ1kmにも及ぶ移動都市ロンドンの緻密なディテールや、キャタピラが大地を削る重量感のある映像は圧巻。
監督のクリスチャン・リヴァーズは、ピーター・ジャクソン作品で長年ストーリーボードや視覚効果を担当してきた人物であり、その手腕がいかんなく発揮されている。
原作との違い
原作小説と映画では、キャラクター設定や結末にいくつかの変更がある。
特に原作のヘスターは顔の傷がもっと酷く、隻眼になるほどの重傷を負っているが、映画版ではマイルドな表現に変更されている。
また、原作シリーズは全4部作であり、映画はその第1作目を基にしているが、興行的には苦戦したため続編の製作は未定となっている。
まとめ
本記事では、映画『移動都市/モータル・エンジン』を、あらすじからネタバレ、トリビアに至るまで徹底的に解説してきた。
圧倒的なビジュアルで描かれる都市が動く世界観は、見る者を未知の冒険へと連れ出してくれる。
荒野を駆ける巨大都市の迫力と、そこで生きる人々のドラマを、ぜひその目で確かめてほしい。