映画『イミテーション・ゲーム』
あらすじ・ネタバレ解説

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画像引用元: IMDb

2014年に公開された『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』は、モルテン・ティルドゥム監督、ベネディクト・カンバーバッチ主演で贈る、世界中で大絶賛された歴史ヒューマンドラマである。

第二次世界大戦下のイギリス。

ドイツ軍の誇る難攻不落の暗号機「エニグマ」を解読するため、MI6によって集められた天才数学者アラン・チューリングは、ブレッチリー・パークの極秘施設での任務に参加する。

しかし、天才ゆえの傲慢さと不器用さから、彼は同僚の暗号解読チームと激しく衝突してしまう。

誰も想像しなかった人物が、誰も想像しなかった偉業を成し遂げる。

その孤独な戦いは、紅一点の天才女性ジョーン・クラークとの出会いを経て徐々に変化し、やがてチームは一つの目標に向かって結束していくことになる。

暗号解読という知的でスリリングなサスペンス要素と、時代に翻弄されたひとりの天才の悲劇的な人生を見事に描き出した本作。

史実に基づく脚本は第87回アカデミー賞で脚色賞を受賞した。

1.映画『イミテーション・ゲーム』の作品情報

暗号解読機に向かうチューリング

画像引用元: IMDb

タイトル イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密
(The Imitation Game)
監督 モルテン・ティルドゥム
公開年 2014年
キャスト ベネディクト・カンバーバッチ, キーラ・ナイトレイ, マシュー・グード, マーク・ストロング, チャールズ・ダンス 他
ジャンル ドラマ, スリラー, 伝記

2.映画『イミテーション・ゲーム』のあらすじ

1939年、第二次世界大戦が勃発。

ケンブリッジ大学の天才数学者アラン・チューリングは、イギリス海軍のデニストン中佐から、ドイツ軍が誇る暗号機エニグマの解読チームにスカウトされる。

エニグマの設定は毎日午前0時に変更され、その組み合わせは15900京通りにも及ぶ。

人力での計算は絶対に不可能だと言われていた。

チューリングはチームの人間と協力する気は一切なく、解読のための巨大な計算機を一人で設計し始める。

彼の傲慢な態度は同僚たちの反感を買い、予算を無駄にする計算機作りは上層部からも冷たい目で見られる。

孤立無援の中、彼はクロスワードパズルのテストを用いて優秀な人材を独自に募集し、そこでずば抜けた頭脳を持つ女性ジョーン・クラークと出会う。

ジョーンの助言により、チューリングは不器用ながらも同僚たちとの関係を修復し始める。

幾度となく訪れる解雇の危機や資金不足、スパイの疑い。

様々な困難を乗り越えながら、彼らは「機械には機械を」の信念のもと、果てしない暗号解読の死闘を繰り広げる。

3.主要な登場人物とキャスト

4.映画『イミテーション・ゲーム』のネタバレ

※ここからは物語の核心に触れる決定的なネタバレを含みます。

資金が底をつき、計算機クリストファーが結果を出せずに軍から破壊されそうになる中、チューリングは偶然バーで耳にした通信傍受係の女性の話から決定的なヒントを得る。

ドイツ軍の通信には、必ず毎朝同じ決まり文句(天候の報告とハイル・ヒトラーという言葉)が含まれていたのだ。

これにより、15900京通りあった計算の組み合わせを大幅に絞り込むことに成功し、クリストファーはついにエニグマの暗号を完全に解読する。

エニグマを解読したことで、彼らは直近に起きるドイツ軍のUボートによる客船襲撃計画を知る。

同僚のピーターは、その客船に自分の兄が乗っているから助けてくれと懇願する。

しかし、チューリングはここで攻撃を阻止すれば、ドイツ軍にエニグマが解読されたと悟られ、暗号の設定を根本から変えられてしまうと判断する。

彼らは戦争に勝つために、あえて一部の味方を見殺しにし、統計学を用いて怪しまれない程度にドイツ軍の攻撃を阻止し続けるという、冷酷な神の真似事を行うことになる。

チーム内にソ連のスパイがいるという疑惑が浮上する。

実はスパイだったのは同僚のジョン・ケアンクロスだった。

ケアンクロスはチューリングが同性愛者であるという秘密を握っており、それをネタに脅迫してチューリングを沈黙させる。

しかし、MI6のミンギスは最初からケアンクロスがスパイであることを知っており、ソ連に情報を流すためにあえて泳がせていたのだった。

戦争終結後、彼らの功績は最高機密として完全に隠蔽され、彼らは全てを忘れ、二度と会わないことを誓い合う。

数年後の1952年、チューリングの自宅に空き巣が入ったことをきっかけに、警察の捜査で彼が同性愛者であることが発覚する。

当時のイギリスでは同性愛はわいせつ罪という重罪であり、彼は投獄を免れる代わりに化学的去勢を強制される。

心身ともにボロボロになり、思考能力すら奪われていくチューリングのもとをジョーンが訪ねる。

彼女は「あなたがいなければ、今の平和な世界はなかった」と彼を慰めるが、チューリングは1954年、41歳という若さで青酸カリを塗ったリンゴをかじり、孤独に自ら命を絶つのであった。

5.映画『イミテーション・ゲーム』の補足情報・小ネタ解説

コンピューターの父

アラン・チューリングは、映画の中で描かれた暗号解読機クリストファーを開発し、現在のコンピューターや人工知能の基礎理論を構築した人物として知られる。チューリング・テスト(機械が人間のように思考できるかを判定するテスト)は現在でもAIの分野で語り継がれている。

青酸カリのリンゴとAppleのロゴ

チューリングは青酸カリを注射したリンゴをかじって自殺したと言われている(事故死説もある)。一説には、スティーブ・ジョブズが創業したAppleのかじられたリンゴのロゴマークは、この偉大なコンピューターの父であるチューリングへのオマージュであるという都市伝説が広く囁かれている(公式には否定されている)。

エリザベス女王による死後恩赦

同性愛を罪として裁かれたチューリングの名誉は長く回復されなかったが、2009年に数万人の署名活動が行われ、当時のイギリス首相ゴードン・ブラウンが公式に謝罪した。さらに2013年には、エリザベス女王によって死後恩赦が与えられ、現在ではイギリスの50ポンド紙幣の肖像に採用されるほど、国の英雄として称えられている。

ジョーン・クラークの現実

映画ではキーラ・ナイトレイが美しく演じたジョーン・クラークだが、史実の彼女もまた非常に優秀な暗号解読者であり、戦後も大英帝国勲章を受章するなど活躍した。チューリングと婚約までしたが、彼が同性愛者であることを告白したため婚約を破棄したというエピソードも概ね事実に基づいている。

誰も想像しなかった人物が…の反復

劇中で何度か繰り返される「誰も想像しなかった人物が、誰も想像しなかった偉業を成し遂げる(Sometimes it is the people no one imagines anything of who do the things that no one can imagine.)」というセリフは、孤立した天才や、当時の社会で抑圧されていた女性、そして同性愛者に対する力強い賛歌として、映画のテーマを象徴している。

まとめ

本記事では、映画『イミテーション・ゲーム』を、あらすじから詳細なネタバレ、トリビアに至るまで解説してきた。

世界を救った最大の英雄でありながら、社会の偏見によって存在を抹消され、悲劇的な最期を遂げた天才数学者の物語である。

劇中に散りばめられた暗号解読の興奮と、登場人物たちの葛藤は、何度見直しても胸を打つ。

結末を知った上でもう一度見直すと、チューリングの不器用な優しさや、クリストファーへの愛が全く違った意味を持ってくる。ぜひ本編で体験してほしい。