映画『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』
あらすじ・ネタバレ解説

映画『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』の画像

画像引用元: IMDb

2004年に公開された『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』は、アルフォンソ・キュアロン監督によってダークで芸術的な作風へと進化した、ハリーポッターシリーズの3作目である。

ホグワーツ魔法魔術学校の3年生になるハリー・ポッターは、ダーズリー家での理不尽な扱いに耐えかね、魔法を使って家出をしてしまう。

時を同じくして、脱獄不可能と言われる魔法界の刑務所アズカバンから、凶悪な殺人鬼シリウス・ブラックが脱獄したというニュースが世界を震撼させる。

「ブラックはハリーの命を狙っている」。

ホグワーツには生徒を守るため、恐怖の看守吸魂鬼(ディメンター)が配置されるが、彼らはハリーから容赦なく幸福な記憶を奪い取り、気絶させてしまう。

1.映画『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』の作品情報

ホグワーツ特急とディメンター

画像引用元: IMDb

タイトル ハリー・ポッターとアズカバンの囚人
(Harry Potter and the Prisoner of Azkaban)
監督 アルフォンソ・キュアロン
公開年 2004年
キャスト ダニエル・ラドクリフ, ルパート・グリント, エマ・ワトソン, ゲイリー・オールドマン, デヴィッド・シューリス, マイケル・ガンボン 他
ジャンル ファンタジー, アドベンチャー, ミステリー

2.映画『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』のあらすじ

夏休み、ダーズリー家を訪れたマージおばさんに両親を侮辱されたハリーは、怒りのあまり魔法で彼女を風船のように膨らませてしまい、家を飛び出す。

夜の騎士バスに拾われたハリーは、魔法大臣コーネリウス・ファッジから、アズカバンを脱獄したシリウス・ブラックがハリーの命を狙っていると告げられる。

新学期を迎えたホグワーツ特急の中で、ハリーたちはディメンターに襲われるが、新任の闇の魔術に対する防衛術の教師、リーマス・ルーピンに救われる。

ルーピン先生のもとで、ハリーはディメンターを退けるための高度な守護霊の呪文(エクスペクト・パトローナム)の特訓を開始する。

一方、フレッドとジョージからホグワーツの抜け道や人々の居場所がわかる忍びの地図を譲り受けたハリーは、ホグズミード村でシリウス・ブラックがかつて父ジェームズの親友であり、ハリーの名付け親であるという衝撃の事実を立ち聞きしてしまう。

彼が両親をヴォルデモートに売り渡した。

復讐を誓うハリーだったが、叫びの屋敷でシリウスと対峙した時、12年前に起きた事件の全く異なる真実が明かされることになる。

3.主要な登場人物とキャスト

4.映画『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』のネタバレ

※ここからは物語の核心に触れる決定的なネタバレを含みます。

叫びの屋敷でハリーたちはシリウスと対峙するが、そこにルーピンも合流し、シリウスと抱き合う。

実はシリウスは裏切り者ではなかったのだ。

12年前にポッター家をヴォルデモートに売り渡し、マグルを大量殺人して自分の指を切り落とし、死んだと見せかけてネズミに変身して逃亡していた真の裏切り者は、ピーター・ペティグリューだったのだ。

そしてそのネズミこそが、ロンが長年飼っていたペットのスキャバーズであった。

ペティグリューを捕らえ、シリウスの無実を証明しようと城へ戻る道中、雲が晴れて満月が現れる。

ルーピン先生の秘密は狼人間であることだった。

理性を失い狼に変身してしまったルーピンがハリーたちに襲い掛かり、混乱に乗じてペティグリューは再びネズミに変身し、闇の中へと逃亡してしまう。

狼人間から逃れたシリウスとハリーは、湖のほとりで無数のディメンターに囲まれ、魂を吸い取られそうになる。

薄れゆく意識の中、対岸に現れた人物が強力な牡鹿の守護霊を放ち、ディメンターを退けハリーたちを救う。

ハリーはそれを、死んだはずの父ジェームズだと思い込む。

ペティグリューが逃げたためシリウスは再び捕まり、死刑(ディメンターのキス)が確定してしまう。

ダンブルドアの助言を受けたハーマイオニーは、隠し持っていた時間を巻き戻す魔法のアイテム逆転時計を使い、ハリーと共に過去へ戻る。

彼らは処刑される運命だったヒッポグリフのバックビークを救出し、さらに湖のほとりのシーンに辿り着く。

そこでハリーは、自分たちを救ったのが父ではなく、未来から来た自分自身だったことに気づき、自らの杖で強大な守護霊を呼び出す。

最後はバックビークに乗ってシリウスを牢獄から救い出し、彼を無事に逃亡させることに成功するのだった。

5.映画『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』の補足情報・小ネタ解説

アルフォンソ・キュアロン監督の独自演出

本作から監督がクリス・コロンバスからアルフォンソ・キュアロンに交代したことで、映画全体の色調がダークで寒色系のトーンに変化した。

また、生徒たちが制服を着崩したり私服で過ごすシーンが増え、思春期のリアルな若者の姿が強調されている。

ホグワーツの地形も本作でより立体的かつ明確に再構築された。

キャラクター分析のエッセイ

撮影前、キュアロン監督は主役の3人に、それぞれのキャラクターの視点からエッセイを書いて提出するよう命じた。

結果、エマ・ワトソンは16ページに及ぶ完璧なエッセイを書き、ダニエル・ラドクリフは要点をまとめた1ページを提出。

そしてルパート・グリントはロンなら絶対に宿題をやらないという理由で一切提出しなかった。

三者三様の、役柄を地で行く有名なエピソードである。

ディメンターの誕生秘話

人々の幸福な記憶を吸い取り、周囲の気温を下げ、深い絶望と虚無感をもたらす恐怖の怪物ディメンター。

原作者のJ.K.ローリングは、自身が20代の頃に患った臨床的なうつ病の経験と、そこから来る二度と幸せになれないと感じる圧倒的な絶望感をメタファーとして、このクリーチャーを生み出したと語っている。

ダンブルドア校長の交代

第1作、第2作で温かく威厳のあるアルバス・ダンブルドアを演じた名優リチャード・ハリスが2002年に逝去したため、本作からはアイルランド出身のマイケル・ガンボンが校長役を引き継いだ。

ガンボンのダンブルドアは、前任者よりも活動的で、時に飄々としたユーモアや人間味を感じさせる新しい校長像を作り上げている。

原作小説との主な違いと忍びの地図

映画の尺の都合上、本作では原作における重要な背景設定が大きくカットされている。

最も大きな違いは、忍びの地図の製作者であるムーニー、ワームテール、パッドフット、プロングスが一体誰なのかという説明がないことだ(原作では、それぞれルーピン、ペティグリュー、シリウス、ハリーの父ジェームズの学生時代のあだ名であり、彼らが親友同士のアニメーガスであったことが明かされる)。

また、ハリーがファイアボルトを受け取るタイミングが、原作では中盤だが、映画ではラストシーンのカタルシスとして変更されている。

まとめ

本記事では、映画『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』を、あらすじから詳細なネタバレ、トリビアに至るまで解説してきた。

本作は両親の死の真実を知り、父の面影を追い求めながらも、最終的に自分自身の力で困難を乗り越えるハリーの成長をていた。

タイムトラベルを使ったプロットと、キュアロン監督の美しい映像美は、シリーズの中でも異彩を放っている。

結末を知った上でもう一度見直すと、全編に張り巡らされた緻密な伏線と時間のギミックに驚かされる。ぜひ本編で体験してほしい。